事の発端はAUDAXのAP080G0を入手したことから始ります。
このユニットはQtsが0.97もあって好都合かと考え、以前私が設計したAURAの8用スパイラルホーンと差し替えて聴いたところ、全く持って低音が出ませんでした。 Qtsがあれだけあって、なぜ低音が出ないんだろう。 おかしい。 そこで考えたのがDBです。 と言うのも、以前AUDAXのHP080G0でDBを設計したら、ことのほか好評だったからです。 しかし普通に設計したのでは面白くない。 ということで、この度は第2ダクトにスパイラルを使った実験に至った次第です。 なおPCにマイクがないことから、その音は私の主観でしかありませんが、結果は想像したとおりの低音であり、DBとそうでない箱との比較ではかなりの差がありました。 ***** 私なりの「ダブル・バスレフ」の考え方についてお話いたします。 DBの設計については、ラ技社「スピーカーシステム作成集」及び故長岡先生の文献を参考に設計している次第です。 一般的に設計の基本は、第1ダクトと第2ダクトに起因するインピーダンスの山にあると考えられています。 この山を想定して、いかに低音を伸ばすかが要となります。 DBの設計及び特性について故長岡先生は 第2キャビネット容積は第1キャビネット容積の2倍 バスレフと比較して低音の音圧が下がる ということをおっしゃっています。 確かに先生の設計したDBを作成したら低音は伸びるのですが、低音の音圧がなく、結果的にはイコライザーをいじるしかないようです。 しかし、いろいろ箱を試した結果、それは第1キャビネットのfd1を欲張りすぎたことに起因するのではないかと思い始めました。 私の考えでは、どんなユニットでも、まずは 第1キャビネットの共振周波数を欲張ることなく、とにかく最も音圧が高く、且つ周波数がなるべく低い音が出る容積及びダクトを設計してやり、 それによって作り出された低音を第2キャビネット(容積は第1ダクトの2倍以上?)でバランスよく低音が伸びるように増幅してやるダクトを設計してやる と結論づけました。 「DBって、なんて設計が難しいんだ」とお思いでしょうが、上記を粘り強く実践すれば必ず良い結果が得られます。 なお、それぞれのダクト面積は、ともになるべく小さい方がいいような気がします(ユニットにもよりますが・・・)。 ポイントは、ユニットに合った第一キャビネットの設計に尽きると確信しています。 ***** 本日は実験のお題目についてお話いたします。 第2ダクトにスパイラルを用いた場合の効果を計るには、比較が必要不可欠となります。 そこで スパイラルを用いたDBと、スパイラルを外して単なるダクト(fd2は同一)にしたDB スパイラルを用いたDBと、第1容積の隔たりを無くした、普通のスパイラル の2点について比較実験しました。 スパイラルを用いたDBの設計は スパイラルは、Lー102の作り損ない(長さは同一で、n=1,25)を使用、 V1=3.1リットル fh1=157Hz ダクト直径3.3の穴のみ(米松合板1.2使用) V2=8.5リットル fh2=約75、6Hz です。 画像を添付します。 第1ダクトは取り外すことが出来るよう設計しています。 スパイラルも、はめ込んだだけで完全に固定はしていません。 前面バッフルは取り外し自由となっています。 ちなみに画像に映っている箱の外寸は 37*17.1*27 となります。 なおHP080G0の特性は f0=141.16hZ a=2,7 m0=2,67g Qts=0.97 です。***** スパイラルを使用したDBと、第一ダクト(仕切)を外した、普通のスパイラルホーンの比較についてお話いたします。 両方とも同じように低音が伸びていました。 しかし、低音のレベルが明らかにDBの方があり、しかも厚みがあって、とてもバランスの良い低音がでます。 一般的にパイプを使用したスパイラルは締まった低音が魅力ですが、それとは明らかに違う、厚みを増した低音になりました。 故長岡先生のおっしゃった、「DBは低音レベルが下がる」という説は、スパイラルでは当てはまらないということがわかりました。 次に、スパイラルを使用したDBと、スパイラルの代わりに普通のダクト(fd2は共通)を使用したDBの比較についてです。 しかしfd2が共通ですが、パイプがないぶんV2の容積が増えてしまい、比較実験としては妥当ではないとは思いますが、せっかくですのでお話いたします。 想像とおり、低音の伸び、レベルともに全くレースになりません。もちろんスパイラルの方に軍配が上がったことは言うまでもありません。 改めてスパイラルの威力が証明されました。 以上の実験で判ったことですが、結論を出す前にユニットについて説明いたします。 このAP080G0は、高音が伸び、とても瑞々しい、それであって人肌があって、国産ユニットとはひと味違う、とても魅力的なユニットです。 しかしQtsが0.97もありながら、スパイラルで低音がでません。 こんなユニットでの実験ですので、あまり参考にならなかったかもせれません。 結果、スパイラルを第2ダクトに使用したDBは、想像以上に 低音のレベルが上がり、 しかも厚みが増す ことが判明しました。 実験に使用したユニットに問題があったかも知れませんが、これがSA/F80AMG やAURA SOUND NS3−193−8Aを使用したら、もっとよい結果がでたかも知れません。 今後の設計の参考になさってください。 ***** この作品は、あくまで実験のために作成したものです。 ですから、スパイラルは取り外して再度使用できるように固定はしていませんし、コの字の仕切板は交換できるようにネジで固定できるように設計され、しかも前面バッフルはビス止め4カ所止めと、剛性等は全く考慮されていません。 この作品は「実験」としてはある程度成功でしたが、ユニットに対しての設計としては失敗作となります。 スパイラルを再度使用し、V1を多少増やしてfd1に対するレベルを最大限に上げ、そしてV2を拡大、fd2を40Hzまで伸ばしたら、もっと低音がでるのではないかと考えています。 さて、スパイラルのDB設計法ですが、簡単に考えれば、 既存の作品の箱の中に、fd1における最大のレベルとなるV1、fd1を設計、最小のダクトを開けた仕切板を追加・・・ となります。 いい加減ですが、試してみる価値はあると思います。 |
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